今月の代表メッセージ

4月の代表メッセージ

☆2024年4月16日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 子供たちを守るためには教師の懲戒も視野に □■

今年は入学式の日に桜が満開になるという学校が多かったようですが、
4月には桜がよく似合います。
まもなく新緑の季節を迎えようとしている今日この頃です。

2020年11月30日に町田市の小6の女子が
「学校でいじめにあって自殺する」との遺書を残して自殺しています。
この事件に関して、3月28日、NHK NEWS WEB は
「小6女児自殺 事実認定めぐり両親が東京 町田市に再調査要請」と報道しています。
本いじめ事件は、文科省の「GIGAスクール構想」で
1人1台の貸し出し端末で、チャット機能がいじめに使われ、
加害児童たちが「ウザい」「まじ死んで欲しい」などと書き込んでいたことが
当時、大きくとりあげられました。
文春オンラインによりますと、
当初、学校は「チャットは見当たりません」「ハッカーが入ったんでしょうか」などと
隠蔽をはかっていたことも伝っています。
さらに、両親がPTAに情報提供の依頼をし、
卒業式の翌日、加害児童たちが作っていた「ころしかたノート」の存在が明らかになったのです。
しかも学校は、そのノートの存在をご遺族に伝えていなかったのです。
ご両親が入手できたのは2ぺージ分だけだったといいますが、
ノートには「A子の こ・ろ・し・か・た」というタイトルで、
「おさえつける」「なぐりたいだけなぐる」
「自作イレズミ」「つめをはぐ」「目をえぐる」
「さいごに包丁でめったざし」
などと記入されておりました。
これに対して、文春によると
調査委員会は、いじめと自殺の因果関係を認めないという立場をとっています。
一部、引用いたします。
—–
いじめと自殺の因果関係については、
「安全安心な学級が形成されず、
長期間人間関係のストレスにさらされたことが、
心を弱らせる一因となった」
としながらも、
「重大事態の原因は複合的なもの」と位置づけ、直接的な因果関係を否定している。

「原因につながるところを、『因果関係は不明』というふうな終わり方になってしまっています。
これではいつまで経っても、いじめはなくならないんです。
絶対に、責任の所在をはっきりさせないといけない」(父親)
—–
あまりにひどい調査結果だといえます。
再調査を要求するのは当然です。
学校の隠蔽工作を放置しておくことは、
日本全体のいじめ対策を後退させるだけだと言えます。

ただ、評価すべき方向に進んでいる自治体もあります。
今年の2月に代表メッセージとして「教職員の懲戒処分規定を全国に」を書かせていただきました。
その中で札幌市が、教職員のいじめ関する懲戒を懲戒処分規定に
盛り込む予定という報道に言及いたしました。
その後、札幌市は、2月26日に
「学校職員の懲戒処分に関する指針」を一部改正し、
いじめへの対応を設けています。
この指針には、大項目の第2の標準例の中に
「3 児童生徒に対する非違行為」をあげ
その(4)として「いじめへの対応」を示しています。

下記に引用いたします。
——
(4) いじめへの対応
ア 不適切な指導及び言動等により、児童生徒間のいじめに加担し、又は助長し、
重大な状態を招いた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

イ 児童生徒間のいじめの実態を把握しながら、適切な対応を怠り、又は放置し、
重大な状態を招いた職員は、停職、減給又は戒告とする。
——
なお、本指針は、令和6年4月1日以降に発生した非違行為より適用する、とされています。

条例として制定されたものではありませんが、
免職まで言及していて、大変、有意義な内容です。
ただ、項目イの「隠蔽、放置」に関しては「免職」という文言が省かれているのは残念です。
さらに、管理職に対しては、より重い責任を問うべきだと思います。
不足している部分もあるとはいえ、「校職員の懲戒処分に関する指針」において
明確に「懲戒」するという姿勢を明らかにしたことを、評価したいものだと思います。
ぜひ、各都道府県や政令指定都市において、札幌市のあとにつづいていただきたいものです。
政治家の皆様のお力をお借りしたいものです。

加えて、4月10日には、NHK NEWS WEBで、
「札幌市 児童・生徒の意見もとにいじめ基本方針見直し」という報道がありました。

引用してみます。
——-
3年前、札幌市の市立中学校に通っていた当時1年の女子生徒が自殺した問題では
生徒がいじめの被害を繰り返し訴えていたものの
担任らが情報を共有せず組織的な対応がとられていませんでした。
このため市教委はいじめ防止に向けた基本方針の見直し案をまとめ、
パブリックコメントを実施し、10日の会議で市民などの意見を公表しました。
それによりますと市内のあわせて1151人の児童・生徒からも意見が寄せられ
いじめられたときに周りに相談できる環境作りが大切だという指摘や
隠そうとする先生がいるので信頼できる大人になってほしいという要望などがありました。
これを受けて市教委は見直し案の修正を決め、
さまざまな相談窓口があることを繰り返し周知することや、
すべての教職員がいじめられた児童・生徒を守る姿勢を共有することなどを追加して決定しました。
——-

「いじめ問題」に対して、いじめ防止基本方針の見直しだけでなく、
懲戒処分を明確化という両面からの対策が有効だと考えます。
この流れが全国に波及することを願います。

子供たちに素晴らしい1年を送っていただきたいと願っています。
不安に感じるようなことがありましたらどうぞご相談いただきたいと存じます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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